実家から日本刀が出てきたら。警察への届出と登録証の手続き

実家から日本刀が出てきたら。警察への届出と登録証の手続き

実家の片づけをしていたら、押し入れの奥から刀が出てきた。遺品整理では、わりと起こることです。この記事では、登録証があるかないかで分かれる手続きを、法律と都道府県の案内で確認します。

遺品整理全体の進め方は遺品整理は何から始める?にまとめました。ここは、出てきたときに困るものの話です。

目次

結論:登録証があるかどうかで、やることが真逆です

日本刀の登録証がある場合とない場合で手続きが分かれることを比べた図解

銃砲刀剣類所持等取締法の第3条は、何人も一定の場合を除いては銃砲等または刀剣類を所持してはならない、と定めています。その例外のひとつが、第14条の規定による登録を受けたものを所持する場合です。

逆にいえば、登録を受けていない刀剣類は、相続した家族であっても所持できません。

そこで最初にやることは、刀そのものを扱うことではなく、登録証を探すことです。「銃砲刀剣類登録証」という紙が、桐箱の中や鞘と一緒に入っていることがあります。

東京都教育委員会の案内には、相続・譲渡・売買等は登録証が交付されているもののみ可能だと書かれています。登録証がある刀なら、手続きは届出だけで済みます。ない場合は、まったく別の道を通ることになります。

刀身を抜いたり、研いだり、動かしたりする前に、まず紙を探してください。

登録証がない場合。まず警察署に届け出る

同じ法律の第23条は、銃砲等または刀剣類を発見し、または拾得した者は、速やかにその旨を最寄りの警察署に届け出なければならない、と定めています。

東京都の案内では、この「発見」の例として「田舎の家を解体したら屋根裏から刀が出てきた」「祖父の遺品から刀が見つかった」という場合が挙げられています。まさにこの記事の場面です。

見つかった地域を管轄する警察署へ届け出ると、「発見届出済証」が交付されると説明されています。

ここで気をつけたいのが、警察署までどうやって持っていくかです。登録証のない刀を持ち歩くことになるので、自己判断で車に積んで向かうのは避けてください。まず電話をして、運び方も含めて指示を受けるのが確実です。

発見届出済証を受け取ったら、次は登録です。登録を行うのは警察ではなく、都道府県の教育委員会になります。法第14条で、美術品として価値のある刀剣類の登録をするのは都道府県の教育委員会だとされていて、登録は登録審査委員の鑑定に基づいて行われます。

東京都の場合、登録審査手数料は1振につき6,300円です。注意書きとして、審査の結果登録できず「登録不可通知書」の交付になった場合でも返金されない、とあります。登録が不要であることが判明した場合も同じです。

審査会の日程や予約の要否は都道府県によって違います。お住まいの都道府県の教育委員会に確認してください。

登録証がある場合。20日以内に届け出る

こちらは、ずっと簡単です。

法第17条第1項は、登録を受けた銃砲または刀剣類を譲り受け、もしくは相続により取得した者は、20日以内にその旨を当該登録の事務を行った都道府県の教育委員会に届け出なければならない、としています。

届出先は、自分の住所地ではありません。その刀を登録した教育委員会です。登録証に書かれている都道府県を見てください。

東京都の案内によると、所有者変更の届出は郵送または電子申請でできます。届出用紙に記入し、登録証の写しを1枚同封して郵送する形です。審査会に出席する必要はありません。

ひとつ知っておくとよいのが、受領通知も完了通知も行われないという点です。東京都の案内には、内容が一致しないなどの特段の場合を除いて連絡はせず、1か月程度経過して連絡がなければ変更手続は完了したものと了解してほしい、と書かれています。何も返ってこないのが正常、ということです。

登録証を自分で書き換えるのは違法で、登録証が無効になり不法所持になるとも注意されています。登録証だけを譲り渡すことも違法行為です。

なお運搬するときは、法第24条第1項により、登録証を常に携帯していなければなりません。買取に出すときも、宅配ではなく持ち込みが基本になります。遺品の買取全般の考え方は遺品の貴金属・ブランド品・家具、どう手放す?にあります。

登録できなかったときに、残せるもの

審査で登録できなかった場合、その刀は原則として所持できません。

東京都の案内では、所轄警察署の生活安全課保安係に届け出て、「登録不可通知書」と現物を渡せば無料で廃棄処理をしてくれる、と説明されています。

ただ、同じページに続きがあります。

所持ができないのは刀身のみなので、希望すれば拵え、つまり鞘や柄は取り外して持ち帰ることができる、と書かれています。祖父が触っていた鞘だけでも残したい、という気持ちには応えられるということです。

さらに、「遺品なので廃棄するには忍びない」という場合について、国公立の博物館・美術館であれば登録証がない状態で所持・保管が可能とされているので、寄付等の手続を取って譲れる場合がある、とも案内されています。

捨てるしかない、と思って手続きを始める方が多いと思います。選択肢がもう2つあることは、知っておく価値があると感じました。

扱いに迷う場合は、都道府県の教育委員会の文化財担当か、所轄警察署の生活安全課に相談してください。

わが家の場合

実家の押し入れに、刀はありません。ただ、母の実家のほうは分かりません。

古い農家で、仏間の長持ちに何が入っているのか、たぶん誰も把握していない。祖父が亡くなってからも、中身を全部出したという話を聞いたことがないのです。

今回調べて、いちばん意外だったのは拵えの話でした。登録できなければ全部手放すしかないと思っていたので。残せるものがある、と知っていると、開ける前の気持ちが少し違います。

NEXT STEP

今日やることは、これだけ

  • 刀が出てきたら、刀身に触れる前に「銃砲刀剣類登録証」を探す
  • 登録証がなければ、動かす前に最寄りの警察署に電話して指示を受ける
  • 登録証があるなら、そこに書かれた都道府県の教育委員会に20日以内に届け出る

出典

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この記事を書いた人

中心メンバーは、数年前に父を見送った40代の会社員。デジタル遺品や実家の整理で「準備しておけばよかった」と痛感した経験から、同じ立場の方に向けて、親の「もしも」に少しずつ備えるための情報を集めて記事にしています。

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