実家の片づけで、最後まで残るのが写真です。家具や食器は判断できても、アルバムの山だけは手が止まる。捨てられないのに、全部は持ち帰れない。この記事では、写真整理の順番と、データ化という選択肢、現物の手放し方までを整理します。
写真そのものではなく、撮っていたカメラをどうするかは親のカメラ・レンズ、どう手放す?をどうぞ。
写真以外の遺品も含めた分け方は遺品整理は何から始める?で確認できます。

結論:「捨てるもの」ではなく「残すもの」を選ぶ
写真の整理が進まないのは、順番が逆だからです。「どれを捨てるか」を考えると、1枚ごとに罪悪感と向き合うことになり、必ず止まります。
逆にしてください。「どれを残すか」を選ぶのです。

残す基準は、人が写っているか、思い出せるか、で十分です。風景だけの写真、同じ場面の重複、誰だか分からない集合写真。こうしたものは自然と選から外れていきます。「捨てる」を決めたのではなく「選ばれなかった」だけ。この違いが、気持ちのうえで大きく効きます。
親が元気なら、一緒に選ぶのがいちばんです。写真を広げると思い出話が始まり、片づけはほとんど進みません。でも、誰が写っているか、どこで撮ったかを聞けるのは今だけです。実家の片づけでも書いたとおり、話しながら把握すること自体が、この整理の中身です。
データ化という選択肢。自分でやるか、預けるか
残すと決めた写真は、データ化しておくと安心です。紙の写真は湿気や日光で劣化しますし、災害で失われれば戻りません。データにしておけば、家族それぞれのスマホで見られて、分け合うときに揉めることもなくなります。
方法は2つあります。
| 方法 | 向いている場合 | 目安 |
|---|---|---|
| 自分でスキャンする | 枚数が少ない。スマホのスキャンアプリやプリンターの機能で足りる | 費用はほぼゼロ。時間はかかる |
| 業者に預ける | アルバムごと大量にある。1枚ずつ剥がす気力がない | 1冊あたり数千円から。納期は会社によって数週間から数か月 |
アルバムをそのまま預けられるサービスが複数あります。たとえば富士フイルムのアルバムスキャンサービスは、34.5cm×34.5cm以内で最大60ページのアルバムを1冊6,600円(税込)、解像度300dpiでスキャンし、DVDまたはブルーレイで返す形です。60ページを超える分は1ページにつき132円(税込)が加算されます(2026年9月時点)。
料金は枚数・解像度・納品方法で変わります。頼む前に、1冊あたりの上限ページ数と、超過したときの加算額を確認してください。アルバムが分厚い家ほど、ここで金額が変わります。
大量にある場合は、全部をデータ化しようとしないことです。「残す」で選んだ分だけを預ける。ここでも順番が効いてきます。
データ化したら、現物は捨てていい?
データにしたのだから現物は要らない、と考えたくなります。ただ、資料を守ることを仕事にしている機関の考え方は少し違います。
国立国会図書館が定めた資料保存の方針には、媒体変換について「原資料の保存を図るために、媒体変換により作製した資料を利用に供する」と書かれています。デジタル化は原本を捨てるためではなく、原本を傷めずに使うための手段だ、という位置づけです。
家庭の写真も同じ考え方が使えます。普段はデータで見て、現物はしまっておく。全部を残す必要はありませんが、少なくとも「残す」で選んだ分は、データ化したあとも現物を手元に置いておいていいということです。
しまう場所には注意してください。同図書館の案内では、恒常的に湿度が65%を超えるとカビが発生する確率が高まるとされ、湿度65%が一つの目安として挙げられています。低温低湿で、温度や湿度が急激に変わらない環境が望ましいとされています。
押し入れの奥や物置は、この条件からいちばん遠い場所です。アルバムを長く残すつもりなら、居室の中で、直射日光の当たらない棚に移すだけでも違います。
現物はどうするか。3つの行き先
データ化が済んだあとの現物には、3つの行き先があります。
- 手元に残す。全部でなくていい。厳選した1冊だけ作り直す、という形が現実的です
- 供養に出す。写真をごみとして出すことに抵抗がある場合、神社やお寺のお焚き上げに送る方法があります。郵送で受け付けているところもあります
- 処分する。自治体の分別に従えば、写真は多くの場合可燃ごみです。抵抗があるなら、白い紙や封筒に包んで出す方もいます。決まりではなく、自分が納得できる形で構いません
どれを選んでも、データが残っていれば思い出は失われません。現物の手放し方は気持ちの問題なので、家族の中でいちばん抵抗のある人に合わせるのが、後悔しないこつです。
遺品としての写真整理は、形見分けとも重なります。考え方は形見分けとは?にまとめました。故人のスマホの中の写真については親のスマホ、亡くなった後にロック解除できる?をどうぞ。
わが家の場合
父が亡くなったあと、実家のアルバムは12冊ありました。母とふたりで「残す」を選ぶ会を、帰省のたびに少しずつやりました。1回につきアルバム2冊まで、と決めて。
思い出話で脱線するので、2冊でも半日かかります。でもその半日で、私は初めて父の若い頃の話を聞きました。写真の整理をしていたはずが、父のことを知る時間になっていた。
選んだ写真は1冊のアルバムに収まりました。残りの11冊は、まだ実家の押し入れにあります。急いで手放す必要はないと思っています。ただ、「どれが大事か」はもう選び終えている。それだけで、いつか手放す日の重さは、ずいぶん違うはずです。
今日やることは、これだけ
- 実家のアルバムが何冊あるか、まず数だけ把握する
- 次の帰省で「残す」を選ぶ会を1回やってみる(2冊まで)
- 誰が写っているか分からない写真は、親に聞いて裏にメモする
出典
- 国立国会図書館「国立国会図書館における資料保存の在り方」
- 国立国会図書館「温湿度管理」
- 富士フイルム「写真アルバムのDVDにスキャンサービス」
