医療費と介護費が重なったら。年単位で戻る合算の制度

医療費と介護費が重なったら。年単位で戻る合算の制度

入院もしている、デイサービスも使っている。医療と介護の両方がかかる時期は、月の上限を使っても負担が重く感じます。実は、年単位でもう一段下げる制度があります。この記事では、その仕組みと使えない条件を、厚生労働省と協会けんぽの案内で確認します。

月ごとの上限は親が入院したらと介護の自己負担にも上限があるにまとめました。ここは、その先の話です。

目次

結論:月の上限とは別に、年の上限があります

月ごとの上限と1年分の上限の制度の違いを比べた図解

高額医療・高額介護合算療養費制度といいます。名前が長いので、以下は合算療養費と書きます。

厚生労働省の案内では、世帯内の同一の医療保険の加入者について、毎年8月から1年間にかかった医療保険と介護保険の自己負担を合計し、基準額を超えた場合にその超えた金額を支給する制度、と説明されています。

同じ資料に、位置づけもはっきり書かれています。高額療養費制度が「月」単位で負担を軽減するのに対し、合算療養費は、こうした月単位での負担軽減があってもなお重い負担が残る場合に「年」単位でそれらの負担を軽減する制度である、と。

月の上限を使い切ってもまだ苦しい。そういう家のための制度だということです。

対象の期間が8月始まりなのは覚えにくいところです。1月から12月ではありません。

使えない条件が2つあります

期待してから外れるとつらいので、先に条件を書きます。

協会けんぽの案内には、医療保険・介護保険の自己負担額のいずれかが0円である場合は支給しない、とあります。

つまり、医療費だけが重い年も、介護費だけが重い年も、この制度は使えません。両方にかかっていることが条件です。

もうひとつ、超えた金額が501円以上の場合に限る、とされています。わずかに超えただけでは支給されません。

合計するときの自己負担額からは、高額療養費や高額介護(予防)サービス費の支給を受けることができる場合はその額が除かれます。先に月単位の制度で戻る分は、二重には数えないということです。

基準額は、加入している医療保険と年齢、所得で変わります。親が75歳以上なら後期高齢者医療制度なので、協会けんぽとは窓口も区分も別になります。金額は加入先に確認してください。

月単位の制度も、まだ下げられます

合算療養費の前に、月ごとの上限そのものを下げられる場合があります。厚生労働省の資料に、2つのしくみが載っています。

ひとつが多数回該当です。過去12か月以内に3回以上、上限額に達した場合は、4回目から多数回該当となり、上限額が下がるとされています。

70歳以上の方の場合、本来の上限が57,600円の区分(年収約370万円まで)なら、4回目からは44,400円になります。年収約370万〜約770万円の区分も、4回目からは44,400円です。ただし住民税非課税の区分の方には多数回該当の適用はない、と注記されています。

入退院を繰り返している家では、ここを知らないまま毎月同じ額を払っていることがあります。

もうひとつが世帯合算です。ひとりの1回分では上限を超えない場合でも、複数の受診や、同じ世帯にいる他の方の受診について、窓口で支払った自己負担額を1か月単位で合算できる、とされています。

ただし条件があります。合算できるのは同じ医療保険に加入している方に限られます。親と別の健康保険に入っている子は、同居していても合算できません。また69歳以下の方の受診については、2万1千円以上の自己負担のみが合算の対象です。

申請は2か所。介護の証明書を先に取る

合算療養費は、自動では戻りません。

協会けんぽの場合、申請書の名前は「高額介護合算療養費支給申請書兼自己負担額証明書交付申請書」で、提出先は加入している協会けんぽの支部とされています。

順番としては、介護保険の側で自己負担額証明書の交付を受け、それを医療保険側の申請書に添えて出す形になります。介護保険の窓口は市区町村です。役所と保険者の2か所に用事がある、と考えてください。

親が国民健康保険や後期高齢者医療制度に加入している場合は、申請先も様式も変わります。まずは保険証に書かれている保険者に電話するのが早道です。

費用の全体像としては、施設に入っている場合の食費と居住費を下げる負担限度額認定も別にあります。制度が多くて混乱しますが、それぞれ対象が違うので、重ねて使えるものがあります。使えるサービスの考え方は介護保険で使えるサービスにまとめました。

個別の該当や金額の判断は、加入先の医療保険か市区町村の窓口、またはケアマネジャーに確認してください。

わが家の場合

父のときは、入院が長引いた年がありました。

その年、母がいくら払ったのか、私は正確に知りません。高額療養費の払い戻しを受けたことは覚えていますが、介護のほうは要介護認定を受ける前だったので、たぶん合算の対象にはならなかったはずです。

ただ、もし父がもう少し長く生きて、介護保険も使うようになっていたら。医療と介護が両方重なる年が来ていたと思います。そのとき母がこの制度を知っていたかというと、たぶん知らなかった。病院も役所も、聞かれなければ教えてくれないことがあります。

NEXT STEP

今日やることは、これだけ

  • 親が医療と介護の両方を使っているか、1年分で振り返ってみる
  • 使っているなら、保険証に書かれた保険者に「合算の対象になりますか」と電話する
  • 入退院を繰り返しているなら、多数回該当になっていないかもあわせて聞く

出典

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この記事を書いた人

中心メンバーは、数年前に父を見送った40代の会社員。デジタル遺品や実家の整理で「準備しておけばよかった」と痛感した経験から、同じ立場の方に向けて、親の「もしも」に少しずつ備えるための情報を集めて記事にしています。

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