成年後見人は誰がなる?親族の選任は16.4%という数字の読み方

成年後見人は誰がなる?親族の選任は16.4%という数字の読み方

成年後見人に親族はなれるのか。「ほとんど専門職が選ばれる」という話をよく見かけます。最高裁判所が毎年出している統計を読むと、たしかにそのとおりでした。ただ、もう一つ並べたい数字があります。この記事では、令和7年の数字をもとに実態を整理します。

制度そのものの仕組みは成年後見制度とは?にまとめました。ここは「誰が後見人になるのか」だけを見ていきます。

目次

結論:親族の選任は16.4%。候補者を挙げた申立ても19.7%でした

成年後見人に選ばれた人の割合と、申立書に親族の候補者が書かれた割合を比べた図解

最高裁判所事務総局家庭局の「成年後見関係事件の概況」によると、令和7年に成年後見人等と本人との関係をみたとき、配偶者・親・子・兄弟姉妹・その他親族が選任されたものは全体の約16.4%でした。親族以外が選任されたものは約83.6%です。

ここだけを見ると、親族はほとんど選ばれていないように読めます。

ただ、同じ資料にもう一つ数字があります。認容で終局した後見開始・保佐開始・補助開始の審判事件のうち、親族が後見人等の候補者として申立書に記載されている事件の割合は、約19.7%でした。

つまり、8割の申立てでは、そもそも親族が候補者として挙げられていません。

「希望しても通らない」のと「最初から希望していない」のとでは、意味がかなり違います。16.4%と19.7%を並べると、候補者を挙げた事件の多くでは実際に親族が選ばれている、という読み方もできます。

家庭裁判所が誰を選ぶかは事案ごとの判断なので、この数字から「挙げれば通る」とは言えません。それでも、「どうせ無理だから」と最初から諦める材料にもならないと思います。

選ばれているのは、どんな人か

親族以外の内訳も出ています。令和7年の関係別件数でみると、司法書士が11,966件、弁護士が8,903件、社会福祉士が7,280件でした。

専門職といっても一様ではありません。いちばん多いのは司法書士です。

市民後見人は390件でした。これは、弁護士などの資格者でもなく、本人と親族関係や交友関係もない人のうち、地方自治体などが行う養成講座で知識や技術を身につけ、後見人になることを希望している人を選任した場合を指します。制度としてはありますが、件数はまだ少ない部類です。

親族が選ばれた7,014件の内訳も見ておきます。子が3,647件で52.0%、その他親族が18.9%、兄弟姉妹が15.0%、配偶者が7.5%、親が6.6%でした。

親族が後見人になるとき、その半分は子です。離れて暮らす子が親の後見人になっている例は、珍しくないということになります。

何のために使われているか

申立ての動機も公表されています。複数回答なので合計は100%を超えます。

  • 預貯金等の管理・解約 39,871件(93.4%)
  • 身上保護 31,655件(74.2%)
  • 介護保険契約 19,502件(45.7%)
  • 不動産の処分 15,502件(36.3%)
  • 相続手続 10,909件(25.6%)
  • 保険金受取 7,578件(17.8%)

ほとんどの事件に預貯金の話が絡んでいます。親の口座が動かせなくなって、はじめて制度を調べ始める。そういう順番が、この数字に出ていると思います。

口座が止まる仕組みそのものは親が認知症になると預金は下ろせない?に書きました。不動産の処分が3分の1を超えているのも、実家を売る場面で本人の意思確認ができないという事情が背景にありそうです。

申立人としていちばん多いのは本人で約24.8%、次が市区町村長で約23.7%、そして本人の子が約18.5%でした。市区町村長の申立ては10,139件あります。身寄りがない、あるいは親族が動けない場合に自治体が申し立てる仕組みがあり、それが4件に1件近くを占めています。

手続きにかかる時間と、鑑定のこと

申立てから結果が出るまでの期間も出ています。

終局した42,674件のうち、2か月以内に終わったものが約71.1%、4か月以内が約93.8%でした。1か月以内に終わったものも37.9%あります。思っていたより早い、という印象を持つ方が多いかもしれません。

鑑定については、実施されたのは全体の約3.4%でした。必ず行われるものではないということです。

鑑定を実施した事件のうち、費用が5万円以下だったものが約43.7%、10万円以下が約85.8%を占めています。期間は1か月以内が約52.6%でした。

ちなみに制度の利用者数は、令和7年12月末時点で259,901人です。前年から約2.3%増えています。

費用や進め方は事案によって変わりますし、どの類型にあたるかの判断も専門的です。具体的な見通しは、管轄の家庭裁判所か、弁護士・司法書士などの専門家に確認してください。地域の相談先としては地域包括支援センターも入口になります。

わが家の場合

母は元気なので、まだ申し立てる場面ではありません。ただ、この数字を見て考えが少し変わりました。

これまでは「親族はどうせ選ばれない」と思っていたんです。実際そう書いてある記事を何度も読みました。でも、8割が候補者を挙げてすらいないと知ると、同じ16.4%でも印象が違ってきます。

もし必要になったとき、私は候補者として自分の名前を書くだろうか。書くとしたら、妹に先に話しておかないといけない。そこまで考えて、手が止まりました。

NEXT STEP

今日やることは、これだけ

  • 親の口座が止まったら何が困るか、具体的に書き出してみる
  • 兄弟姉妹がいる場合は「誰が動くか」だけ先に話しておく
  • 急ぎの事情があるなら、管轄の家庭裁判所に手続きを問い合わせる

出典

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この記事を書いた人

中心メンバーは、数年前に父を見送った40代の会社員。デジタル遺品や実家の整理で「準備しておけばよかった」と痛感した経験から、同じ立場の方に向けて、親の「もしも」に少しずつ備えるための情報を集めて記事にしています。

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