親が転んだ、退院後の生活が心配になった、もの忘れが増えてきた。「そろそろ介護かもしれない」と感じたとき、何から始めればいいのか。この記事では、最初の相談先と、介護サービスを使えるようになるまでの流れを、順番に整理します。

結論:最初の一歩は「地域包括支援センターに電話する」
介護で最初にやることは、施設探しでも介護用品の購入でもありません。親が住む地域の「地域包括支援センター」に相談することです。
地域包括支援センターは、高齢者の暮らしを支える公的な総合相談窓口です。市区町村に1つ以上設置されていて、保健師・社会福祉士・主任ケアマネジャーといった専門職が、無料で相談に乗ってくれます。介護保険の使い方だけでなく、生活の困りごとや仕事との両立の悩みまで、幅広く対応してくれます。
大事なのは、どんな段階でも相談していいということです。「まだ介護というほどではない」段階でも構いません。場所は「(親の市区町村名)地域包括支援センター」で検索するか、市区町村のサイトで確認できます。名称が違う地域もあります。
介護サービスを使うには「要介護認定」が必要
介護保険のサービスを利用するには、市区町村から「要介護(要支援)認定」を受ける必要があります。厚生労働省の案内に沿って、流れを見てください。

いくつか、知っておくと安心なポイントがあります。
- 申請は市区町村の窓口で行いますが、本人が行けなくても家族が申請できます。地域包括支援センターなどが手続きを代行してくれる場合もあります
- 65歳以上の方の申請には「介護保険の被保険者証」が必要です。65歳になると市区町村から届いているはずなので、ありかを確認しておいてください
- 認定調査は、調査員が自宅を訪問して本人や家族から聞き取る形で行われ、調査内容は全国共通です。主治医の意見書は、市区町村がかかりつけ医に直接依頼するので、家族が取りに行く必要はありません
- 結果は原則として申請から30日以内に通知されます。要支援1・2または要介護1〜5のいずれかに認定されると、サービスが使えるようになります
認定後は、要介護1〜5なら居宅介護支援事業者のケアマネジャーが、要支援1・2なら地域包括支援センターの担当職員などが、利用するサービスの計画(ケアプラン)を作ります。自己負担は費用の1〜3割です(所得により変わります)。
実際にどんなサービスが使えるのか、費用の上限はいくらかは介護保険で使えるサービス。訪問・通所・ショートステイの使い分けと自己負担にまとめました。
家族が最初にやっておきたい3つのこと
制度の手続きと並行して、家族の側で整えておきたいことがあります。
- かかりつけ医を把握する。主治医の意見書はかかりつけ医に依頼されます。親がどの病院にかかっているか、お薬手帳がどこにあるかを知っておくと、申請がスムーズです。親に聞いておきたい10のことの最初の項目群と重なります
- 兄弟姉妹と情報を共有する。介護は長丁場です。1人で抱えると、以前書いた「負担の偏り」がそのまま火種になります。地域包括に相談した内容は、その日のうちにグループLINEへ
- 仕事との両立の制度を調べておく。介護休業や介護休業給付という公的制度があります。勤め先の就業規則と、ハローワーク・都道府県労働局の窓口が相談先です。「仕事を辞めて介護に専念する」を最初の選択肢にしないでください。制度の中身と使い分けは介護で仕事を辞める前に。介護休業・介護休暇・給付金の使い方にまとめました
なお、介護とお金の話(誰の口座から払うか、親の判断能力が下がったときの備え)は、それだけで大きなテーマです。口座の凍結や整理については親の銀行口座、多すぎませんか?、判断能力の低下に備える制度は成年後見制度とは?にまとめています。
「まだ早い」と思ううちが、いちばん動きやすい
入院がきっかけで介護が始まる場合は、親が入院したら。保証人・入院費・高額療養費の基礎知識もあわせてどうぞ。入院費の上限や保証人の知識は、介護の入り口とセットで役立ちます。
介護の入り口でいちばん多い後悔は、「倒れてから慌てて調べた」です。
要介護認定は申請から通知まで原則30日かかります。入院や退院のタイミングと重なると、この30日がとても長く感じられます。逆に、元気なうちに地域包括支援センターの場所と電話番号を知っておくだけで、いざというときの動き出しがまるで違います。
離れて暮らしている場合は、見守りの方法とあわせて考えておくと、変化に気づく仕組みと、気づいた後の相談先の両方が揃います。親が施設に入った後の実家のことはこちらに書きました。
わが家の場合
母はまだ介護を必要としていません。それでも先日、母が住む市のサイトで地域包括支援センターを調べて、名前と電話番号をスマホに登録しました。妹にも同じ連絡先を送って、「何かあったらまずここらしいよ」とだけ伝えてあります。
やったことはそれだけです。5分で終わりました。
父のときに学んだのは、「調べる」という作業は、平時には5分でも、渦中では何日にも感じられるということです。連絡先をひとつ登録しておく。それだけのことが、いざというときの自分を助けてくれると思っています。
今日やることは、これだけ
- 親の市区町村の地域包括支援センターを検索して、連絡先を登録する
- その連絡先を兄弟姉妹にも共有しておく
- 親のかかりつけ医とお薬手帳のありかを確認する
