親が亡くなった直後、遺族が最初に取りかかるのが訃報の連絡です。誰に、いつ、どうやって伝えるのか。そして多くの家族がここで気づきます。連絡先が分からない、と。この記事では、知らせる順番と伝え方、そして元気なうちに作っておける連絡先リストについてまとめます。

結論:「3つの輪」に分けると、順番も手段も決まる
訃報の連絡が混乱するのは、全員に同時に伝えようとするからです。相手を3つの輪に分けると、伝える時期も内容も自然に決まります。

大事なのは、第1の輪には日程が決まる前に連絡してよい、ということです。「まだ何も決まっていないから」と待つ必要はありません。むしろ近い親族には、決まる前に知らせるほうが自然です。
誰に、いつ、何を伝えるか
| 相手 | 時期 | 手段 | 伝えること |
|---|---|---|---|
| 近親者 | すぐ | 電話 | 逝去の事実。日程は決まり次第連絡する旨 |
| 親族・親しい友人 | 日程確定後 | 電話 | 日時・場所・形式・辞退の有無 |
| 自分の勤務先 | すぐ | 電話 | 忌引きの申請と、休む見込みの期間 |
| 故人の関係先 | 日程確定後 | 電話 | 逝去と、葬儀の方針 |
| それ以外 | 葬儀後 | はがき | 葬儀を終えた報告と、辞退のお願い |
伝える内容は決まっています。誰がいつ亡くなったか、通夜と葬儀の日時と場所、葬儀の形式、喪主の名前と連絡先。この4つを押さえていれば足ります。
夜間や早朝でも、第1の輪への電話は失礼になりません。逆に、翌朝まで待って「なぜすぐ教えてくれなかったのか」と言われることのほうが多いようです。
なお、自分の勤務先に伝えるときに使う忌引き休暇は、労働基準法に規定がある制度ではありません。日数も有給か無給かも、会社の就業規則によって決まります。いざというときに慌てないよう、自分の会社の規定を一度確認しておくと安心です。
家族葬なら「参列を辞退する」を最初に書く
いま最も多い葬儀の形は家族葬で、47.0%を占めます(鎌倉新書・2026年)。形式の違いは家族葬とは?にまとめました。
家族葬で難しいのは、訃報を知らせること自体が「来てください」という意味に受け取られることです。だから、参列を辞退する旨は連絡の後半ではなく、日時や場所と同じ場所にはっきり書く必要があります。
伝え方のこつは、断りではなく故人や家族の意向として伝えることです。「故人の希望により、家族のみで見送ります」「誠に勝手ながら、御香典や御供物はご辞退申し上げます」といった形なら、相手も納得しやすくなります。「お気持ちだけありがたく頂戴します」と一言添えると、角が立ちません。
葬儀後に知らせる場合は、1〜2週間以内、遅くとも四十九日までにはがきで出すのが一般的です。このとき辞退の意向を書き忘れると、あとから弔問や香典が個別に届き、かえって対応が増えてしまいます。
いちばんの壁は「連絡先が分からない」
ここまでは、連絡先が分かっている前提の話でした。実際には、ここが最大の壁になります。
親の交友関係は、子が思っている以上に広く、そして子はほとんど把握していません。同僚、同級生、趣味の仲間、近所付き合い。名前は聞いたことがあっても、連絡先までは知らない。
そして連絡先は、たいてい親のスマホの中にあります。ロックが開かなければ取り出せません。開けられる場合とそうでない場合は親のスマホ、亡くなった後にロック解除できる?にまとめました。備え全体の考え方はデジタル遺品とは?をどうぞ。
元気なうちにできることは2つです。
- 「知らせてほしい人」の範囲を聞いておく。全員の連絡先を集める必要はありません。「会社の人まで?」「同窓会の仲間は?」と範囲だけ確認できれば、いざというときに探す当てがつきます
- 年賀状と住所録を捨てずに残してもらう。連絡先が分からなくなったとき、紙の記録が最後の頼りになります。年賀状の束は、それだけで交友関係の名簿です
聞いておきたいことの全体像は親が元気なうちに聞いておきたい10のこと、葬儀まわりの準備は親の葬儀、事前に決めておく5つのことにまとめています。
わが家の場合
父の連絡先は、結局スマホの中から取り出せませんでした。頼りになったのは、机の引き出しにあった年賀状の束です。
母と2人で1枚ずつ見ながら、「この人は誰?」「たぶん会社の人」と確かめて、名前と住所を書き写しました。それでも漏れはあったと思います。しばらく経ってから「知らなかった」という手紙が届いたことが何度かありました。
いま母には、年賀状を捨てないでとだけ頼んであります。整理してほしいとも、リストを作ってほしいとも言っていません。それを頼むと、自分がいなくなった後の話になってしまうからです。捨てないで、だけなら、ただのお願いで済みます。
今日やることは、これだけ
- 親に「もしものとき、どこまで知らせたい?」と範囲だけ聞いてみる
- 年賀状や住所録を捨てないよう頼んでおく
- 自分の勤務先の忌引き休暇の規定を確認しておく
