実家の片づけが止まる理由は、たいてい「捨てられない物」です。仏壇まわりの品、父の書斎の本、思い出の家具。判断がつかないまま、片づけ全体が動かなくなる。この記事では、「捨てるか残すか」の二択から一度離れて、「預ける」という第三の選択肢を整理します。

結論:トランクルームは「保留箱の大きい版」。ただし期限を決めて使う
遺品整理の記事で、「迷ったものは保留箱へ」という進め方を書いてきました。今日決められないものは、まだ決めなくていい。数か月置くと、すっと手放せるものは案外多いからです。
トランクルームは、この保留箱の大きい版です。実家を売る・貸す・解体するなど「家を空にする期限」があるのに、判断のつかない物が残っている。そんなとき、物ごと判断を先送りできる場所として機能します。
ただし、決定的な違いがひとつ。保留箱はタダですが、トランクルームは月額がかかり続けます。だから使い方の鉄則はこれです。
借りる前に、「いつまで」を決める。
「1年後の法要まで」「実家の引き渡しから半年」。期限のない預け入れは、判断の先送りが月額課金付きで無期限に続くだけになります。期限が来たら中身と向き合う、という約束とセットで使ってください。
3つのタイプと向き不向き

実家の場面で使いやすいのは、宅配型と屋内型です。
宅配型は、専用の箱に詰めて送ると倉庫で預かってくれるサービスです(サマリーポケットなど)。箱単位の月額なので小さく始められ、スマホで中身を写真管理できるものもあります。アルバムや書類、形見の小物など、「量は少ないが捨てられない物」に向いています。
屋内型は、建物内の区画を借りる形です(ハローストレージなど)。空調のある施設が多く、家具や家電までまとめて入れられます。実家の売却前に荷物をいったん退避させる、という使い方はこちらです。
屋外型のコンテナは料金が抑えめの傾向がありますが、温度・湿度の影響を受けやすいので、思い出の品や写真・書籍には向きません。
料金はタイプ・地域・広さで大きく変わります(2026年8月時点)。宅配型は箱単位の月数百円から、部屋を借りる型は立地次第で月数千円から数万円まで幅があります。必ず複数のサービスで見積もってください。月額のほかに初期費用や管理費がかかる場合もあります。
「預ける」が効く場面・逆効果になる場面
効くのは、期限と目的がはっきりしている場面です。
- 実家の売却や解体が決まっていて、家を空にする日が迫っている(売却の流れで書いたとおり、特例には期限があります)
- 形見分けの結論が出るまで、親族で共有の品を中立な場所に置いておきたい(形見分けの「保留」の受け皿として)
- 自宅に持ち帰りたいが、置き場所を作るまでの数か月をつなぎたい
逆効果になるのは、期限のない「とりあえず全部」です。
家1軒分をまるごと預けると、月額はそれなりの金額になります。1年続けば、その総額で買取や処分の依頼が済んでしまうことも珍しくありません。預けたまま何年も開けない荷物は、置き場所が実家からトランクルームに変わっただけです。
預ける前に、写真のデータ化や人形・着物の記事で書いた「物ごとの手放し方」を先に通しておくと、預ける量そのものが減ります。トランクルームは最後の受け皿、が正しい順番です。
わが家の場合
父の遺品のうち、母がどうしても決められなかったのが、書斎の本でした。売るのも捨てるのも嫌。でも家には置ききれない。
わが家はトランクルームを借りませんでした。代わりに、押し入れの天袋をひとつ空けて「保留の場所」にして、「三回忌まで」と期限を決めました。三回忌のあと、母は本の大半を古書店に引き取ってもらい、数冊だけ手元に残しました。
必要だったのは場所ではなく、期限だったのだと思います。トランクルームを使うにしても、この順番は同じです。場所を借りることは、決めない口実にも、決めるための猶予にもなる。分けるのは期限の有無だけです。
今日やることは、これだけ
- 「捨てられない物」を1か所に集めて、量を把握する
- 預けるなら「いつまで」を先に決めて、家族で共有する
- その期限で月額×期間を計算し、買取や処分の費用と比べてみる
