実家の片づけで、家具も食器も判断できたのに、そこだけ手が止まる。仏壇です。持ち帰るには大きく、捨てるのは気が引ける。この記事では、仏壇じまいの順番と、位牌や本尊の扱い、依頼先の選び方を整理します。
仏壇以外の遺品をどう分けるかは遺品整理は何から始める?へ。
仏壇と遺骨は別の判断になります。遺骨の行き先の考え方は親を見送るときの葬儀とお墓にまとめました。

結論:まず宗派を確認する。そこから順番が決まる
仏壇の扱いは、宗派と菩提寺との付き合いによって変わります。だから最初にやることは、業者を探すことではなく、実家の宗派を確認することです。

一般に、仏壇を処分したり移動したりする前には「閉眼供養」(魂抜き、お性根抜きとも呼ばれます)を行うとされています。僧侶に読経してもらい、仏壇や位牌に宿った魂を抜く、という考え方です。菩提寺があるなら、そこへ相談するのが基本になります。
ただし、これは宗派によって考え方が異なる部分でもあります。魂を抜くという発想を取らない宗派もあるため、「必ずこうする」と決めつけずに、実家の宗派とお寺に確認するのがいちばん確実です。
宗派とお寺の付き合いを把握しておく大切さは、親の葬儀、事前に決めておく5つのことでも書きました。仏壇でも同じことが効いてきます。
位牌と本尊は、仏壇本体とは別に考える
見落とされやすいのがここです。
仏壇は「入れ物」で、中には位牌、本尊、過去帳が入っています。仏壇本体を処分するとしても、位牌をどうするかは別の判断です。誰かが引き取って自宅で祀る、より小さな仏壇に移す、手元供養という形にする。選択肢はいくつもあります。
過去帳は、先祖の名前や没年が記された記録です。処分せずに残しておくと、後の代で家系をたどるときの手がかりになります。中を確認せずに丸ごと引き渡すと、こうしたものまで一緒に失われます。
仏壇の引き出しに、写真や手紙が入っていることもあります。開けてみてください。形見分けや写真の整理につながるものが出てくることは、珍しくありません。
依頼先は4つ
供養と引き取りをどこに頼むか、選択肢を整理します。
| 依頼先 | 特徴 |
|---|---|
| 菩提寺 | 付き合いがあるなら基本の相談先。供養から相談できる |
| 仏具店 | 宗派を問わず引き取りに対応する店が多い。供養とセットの場合も |
| 遺品整理業者 | 他の家財とまとめて依頼できる。供養に対応する業者もある |
| 自治体 | 粗大ごみとして。供養は別に済ませておく形になる |
費用は、供養のお布施、引き取り料、運搬費などの組み合わせになります。金額は地域・宗派・仏壇の大きさで幅が大きいため、この記事では目安を示しません。複数に問い合わせて、何にいくらかかるのかを確認してください。
実家の片づけをまとめて頼むなら、供養に対応している遺品整理業者に相談する方法もあります。仏壇だけのために別の手配をしなくて済みます。
急がなくていい。ただし、家を手放す日は動く
仏壇の判断は、遺品の中でもっとも急がなくていいもののひとつだと思います。四十九日も一周忌も、絶対の期限ではありません。遺品整理はいつからで書いたとおり、決められないものは保留でいいのです。
ただし、実家を売る、貸す、解体するとなれば、家を空にする日が来ます。その日から逆算すると、供養の日程調整に時間がかかることもあるので、早めに菩提寺へ連絡しておくと安心です。
そして、家族の中でいちばん抵抗がある人に合わせてください。「もったいない」ではなく「申し訳ない」という感情の話なので、正論では動きません。誰か1人でも心残りがあるなら、その人が納得する形を探すほうが、後々の関係のためになります。
わが家の場合
母の家には、父方から受け継いだ仏壇があります。まだ何も決めていません。
一度だけ、「この仏壇、いずれどうする?」と聞いたことがあります。母の答えは「お父さんがいるからねえ」でした。それ以上は聞きませんでした。
聞かなくても分かることがあります。母にとってあれは家具ではなく、父のいる場所なのだと。だから私がいま考えているのは、処分の方法ではなく、母がいなくなった後に自分がどうするかです。小さい仏壇に移して自分の家に置くのか、位牌だけにするのか。それは私が決めることで、母に決めさせる話ではない気がしています。
今日やることは、これだけ
- 実家の宗派と、菩提寺があるかを確認する
- 仏壇の引き出しを一度開けて、中身を見ておく
- 位牌をどうするかだけ、家族で話しておく
