親が亡くなったとき、年金まわりでやることは「止める」だけではありません。実は「もらう」手続きがセットになっています。それが未支給年金の請求です。知らずに放置すると、受け取れるはずのお金が時効で消えてしまいます。この記事では、年金の2つの手続きを分かりやすく整理します。
結論:「止める」と「もらう」はセットでやる
年金は亡くなった月の分まで受け取る権利があります。ところが年金は後払い(偶数月に前2か月分が支払われる)の仕組みのため、亡くなったタイミングでは、まだ支払われていない分がほぼ必ず残ります。これが未支給年金です。
たとえば4月に亡くなった場合、4月分までの年金を受け取る権利がありますが、その分の支払いは6月。この「まだ受け取っていない分」を、遺族が請求して受け取るのが未支給年金の請求です。

手続きの場所は年金事務所または年金相談センター。受給停止の届出(年金受給権者死亡届)と未支給年金の請求書は一体の様式になっているので、窓口で「両方まとめて」進めるのが基本です。
請求できる人と、必要なもの
未支給年金を請求できるのは、亡くなった方と生計を同じくしていた遺族です。配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹、それ以外の3親等内の親族という順位が決まっています。「生計を同じくしていた」は同居が典型ですが、別居でも仕送りなどの実態があれば認められる場合があります。
必要書類の目安はこのあたりです(状況により異なるため、事前に年金事務所へ電話確認を)。
- 亡くなった方の年金証書
- 死亡と身分関係が確認できる書類(戸籍謄本など)
- 生計同一を示す書類(住民票など。別居の場合は別途申立書)
- 受け取る人の通帳など振込先の分かるもの
なお、受給停止の届出には期限があります(厚生年金は10日以内、国民年金は14日以内)。マイナンバーが年金機構に登録されている場合は死亡届が省略できるケースもありますが、未支給年金の請求は自動では行われません。「もらう」ほうは、自分から動かないと始まらないのです。
時効は5年。「知らなかった」がいちばん損
未支給年金を受ける権利は、5年で時効により消滅します。数か月分の年金は決して小さな金額ではありません。「手続きが大変そうだから後で」と置いておくと、そのまま忘れてしまうのが実際のところです。
死亡後の手続きは数が多く、優先順位を付けないと回りません。全体像は親が亡くなった後の手続き一覧。期限順にやることを整理にまとめているので、年金の手続きもこの地図の中で位置づけて進めてください。当面のお金の話は死亡すると銀行口座はいつ凍結される?も参考になるはずです。
税金の扱いにも触れておくと、未支給年金は相続財産ではなく、受け取った遺族の一時所得として扱われるとされています。確定申告が必要になるかはケースによるので、金額が大きい場合は税理士に確認してください。
わが家の場合
父のとき、未支給年金の存在は年金事務所の窓口で初めて知りました。受給停止の手続きに行ったら、「未支給分の請求もできますよ。様式は同じ用紙です」と教えてもらい、その場で書いて提出。後日、2か月分が母の口座に振り込まれました。
窓口の方が教えてくれなければ、確実に見落としていたと思います。役所や年金事務所は「聞けば教えてくれる」場所ですが、「聞かなくても全部教えてくれる」場所ではありません。この記事が、その「聞くきっかけ」になれば十分です。
今日やることは、これだけ
- 「未支給年金」という言葉を家族と共有しておく
- 親の年金証書のありかを確認しておく
- いざというときは、受給停止と未支給請求を「セットで」と覚えておく
