親の家が賃貸だったら。亡くなった後の解約と残置物の片づけ

親の家が賃貸だったら。亡くなった後の解約と残置物の片づけ

実家が持ち家ではなく賃貸、という家も少なくありません。親がアパートや借家でひとり暮らしをしている場合、亡くなった後に部屋と荷物をどうするのかは、持ち家とは別の段取りになります。この記事では、賃貸住宅で起きることと、親が元気なうちにできる備えを整理します。

部屋の荷物の分け方そのものは遺品整理は何から始める?で整理しています。

実家で親と話をする様子のイラスト
目次

結論:契約は自動では終わらない。解約するまで家賃が発生する

いちばん誤解されやすいのがここです。

国土交通省の案内では、単身入居者が亡くなると、入居者が持っていた賃借権と居室内の残置物の所有権は、その相続人に承継されるとされています。つまり部屋を借りる権利は相続され、契約は続きます。

そして、賃貸借契約が終了していない状態では賃料の支払い義務が発生し、相続人が判明した場合には、相続人に滞納期間の賃料を請求できることになる、とも書かれています。

葬儀や役所の手続きで数週間が過ぎるのはよくあることですが、その間も家賃は動いています。早めに管理会社か大家さんに連絡し、いつ解約するのかを決めるのが最初の一歩です。

亡くなった後、家族がやること

順番はおおむね次のようになります。

  • 管理会社か大家さんに連絡する(契約書があれば連絡先が分かります)
  • 解約の時期を決める。荷物の量と、帰省できる回数から逆算します
  • 室内の荷物を片づける。これが残置物です
  • 鍵を返して明け渡す。原状回復の費用を精算する

荷物の片づけは、持ち家より期限が厳しくなります。持ち家なら「今年は無理だから来年」ができますが、賃貸は待っている間も家賃がかかるからです。

進め方そのものは持ち家の場合と同じなので、実家の片づけや遺品整理はいつから始める?も参考になります。

ひとつ注意したいのが、相続放棄を考えている場合です。財産的価値のあるものを処分すると相続を承認したとみなされるおそれがあるため、片づけを始める前に弁護士や司法書士に相談してください。

元気なうちにできる2つの備え

残置物の処理等に関する契約と終身建物賃貸借契約を比べた図解

賃貸ならではの備えが2つあります。どちらも国土交通省が案内している仕組みです。

残置物の処理等に関する契約

国土交通省と法務省が、モデル契約条項を公開しています。賃貸借契約とは別に、借りている本人と受任者の間で結ぶ契約です。中身は2つに分かれています。

1つは、本人が亡くなったときに賃貸借契約を解除する代理権を受任者に与えるもの。もう1つは、残置物の廃棄や指定先への送付といった事務を受任者に任せるものです。

受任者は、推定相続人のいずれかとするのが望ましいとされています。子が受けることもできるということです。難しい場合は、居住支援法人や管理業者などの第三者が想定されています。貸主は借主と利益が相反するため、受任者にすることは避けるべきとされています。

本人は「廃棄しない残置物」と、その送付先を先に決めておきます。受任者が廃棄できるのは、死亡から一定期間(少なくとも3か月)が経過し、かつ賃貸借契約が終了した後です。換価できるものは換価するよう努める必要があります。

原則として60歳以上の単身高齢者が賃貸住宅を借りる場合に利用することが想定されています。

終身建物賃貸借契約

こちらは契約の種類そのものが違います。借りている人が亡くなったときに契約が終了する仕組みで、賃借権が相続されません。対象は60歳以上の単身者や同居する配偶者などです。

契約が確定的に終わるため、解除のために相続人を探す必要がなく、相続関係が確定していない場合に全員へ解除を申し入れる手間もなくなります。

ただし、都道府県の認可を受けた事業者でなければ扱えません。いま住んでいる部屋で使えるとは限らないので、引っ越しや住み替えを考えるタイミングで選択肢に入れるものだと考えてください。

なお、2025年10月から、居住支援法人の業務に入居者からの委託に基づく残置物処理が追加されています。相談先を探すときは、お住まいの地域の居住支援法人や居住支援協議会に聞いてみてください。

契約の内容は個別の事情で変わります。具体的な判断に迷う場合は、弁護士や司法書士、管理会社に確認してください。

わが家の場合

母は持ち家なので、この話は自分ごとではありませんでした。調べたきっかけは、母の友人が賃貸でひとり暮らしをしていると聞いたことです。

その方には子がいません。もし何かあったら誰が部屋を片づけるのだろう、と母と話しました。答えは出ませんでしたが、母は「聞いてみようかしら」と言っていました。

持ち家か賃貸かで、備えの中身はここまで変わる。親の住まいがどちらなのかを、まず正確に知っておくことだと思います。

NEXT STEP

今日やることは、これだけ

  • 親の住まいが賃貸なら、契約書と管理会社の連絡先の保管場所を聞いておく
  • 「残置物の処理等に関する契約」という仕組みがあることを親に伝える
  • 地域の居住支援法人や居住支援協議会の窓口を調べておく

出典

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この記事を書いた人

中心メンバーは、数年前に父を見送った40代の会社員。デジタル遺品や実家の整理で「準備しておけばよかった」と痛感した経験から、同じ立場の方に向けて、親の「もしも」に少しずつ備えるための情報を集めて記事にしています。

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