親がどこの保険会社の保険に入っているか、答えられますか。保険金は原則として、遺族が請求しない限り支払われません。つまり、契約の存在を家族が知らなければ、受け取れるはずのお金がそのままになることもあるのです。この記事では、親の保険の棚卸しのやり方と、それでも分からなくなったときに使える公的な照会制度を紹介します。
結論:聞くのは「社名だけ」でいい
保険の話を親に切り出しにくいのは、お金の話に踏み込む感じがするからです。でも、棚卸しに必要なのは金額でも受取人でもありません。「どこの保険会社と契約しているか」。まずはこれだけで十分です。
社名さえ分かっていれば、いざというとき、その会社に連絡して手続きを進められます。保険金額や受取人はそのときに確認できることなので、生前に聞き出す必要はありません。「社名だけ教えて」なら、親の心理的なハードルもぐっと下がります。
棚卸しでやることは3つ

- 保険会社の名前を一覧にする。生命保険だけでなく、医療保険、火災保険、共済(県民共済・コープ共済など)も忘れずに
- 保険証券のありかを確認する。証券そのものを預かる必要はなく、「どの引き出しにあるか」を共有できていればOKです
- 一覧をエンディングノートに書いておく。書き方はエンディングノートの書き方|デジタル項目のテンプレ付きで紹介した「資産のありか」ページがそのまま使えます
年に一度、契約内容のお知らせ(ハガキや封書)が保険会社から届くタイミングは、棚卸しの絶好の機会です。「そういえば、他にはどこの保険に入ってるの?」と自然に聞けます。
それでも分からなくなったら:生命保険契約照会制度
聞きそびれたまま親が亡くなった、あるいは認知症などで判断能力が低下してしまった。そんなときのために、生命保険協会の「生命保険契約照会制度」という公的な仕組みがあります。

利用できるのは、親族等が亡くなった場合か、認知判断能力が低下した場合(医師の診断が必要)。申請すると、協会に加盟する生命保険会社すべてに契約の有無を一括で照会でき、結果がまとめて通知されます。1社ずつ電話をかけて回る必要がないのが、この制度の大きな価値です。
2つ注意点があります。分かるのは「契約の有無と会社名」までで、保険金額や受取人は各社への個別確認が必要なこと。そして利用は有料(照会対象1名ごとに数千円程度)であることです。料金や必要書類の最新情報は、生命保険協会の公式サイトで確認してください。
なお、相続全体の手続きや税金の扱いはケースによって異なります。具体的な判断が必要な場合は、税理士や弁護士など専門家への相談をおすすめします。
わが家の場合
母のエンディングノートの「資産のありか」ページには、銀行3行と保険会社の名前が書いてあります。書いてもらったのは、それこそ保険会社からお知らせのハガキが届いた日でした。
「これ、他にもあるの?」と聞いたら、「あとは共済がひとつ」と返ってきて、その場でノートに1行追記。かかった時間は1分です。父のときに何も分からず苦労した身からすると、この1分の重みが身に沁みます。
今日やることは、これだけ
- 親に「どこの保険会社に入ってるか」だけ聞いてみる
- 保険証券のありか(引き出しの場所)を確認する
- 聞いた社名をエンディングノートの資産ページに書く
