要介護認定が下りた。ケアマネジャーとの初回の打ち合わせで「どんなサービスを使いますか」と聞かれても、選択肢を知らなければ答えようがありません。この記事では、介護保険で使える主なサービスを「来てもらう・通う・泊まる」の3つに整理し、自己負担の仕組みまでまとめます。

結論:サービスは「来てもらう・通う・泊まる」の組み合わせ
介護保険のサービスは種類が多く、一覧を見ても頭に入りません。でも、家族の側から見れば、やっていることは3つに集約されます。

この3つを、親の状態と家族の事情に合わせて組み合わせる。それがケアプランです。たとえば「週2回デイサービスに通い、週1回ヘルパーに来てもらい、家族の旅行のときだけショートステイ」といった形になります。
このほかに、車いすや歩行器を借りる福祉用具貸与、自宅に手すりやスロープを付ける住宅改修もあります。「家を介護しやすく作り変える」という発想は見落とされがちなので、ケアマネジャーに相談してみてください。
認定を受けるまでの流れは親の介護が始まったら、最初にやることに書きました。
自己負担は1〜3割。ただし「上限」がある
費用の仕組みは2段階で理解してください。
まず、サービスを使ったときの自己負担は原則1割です(所得に応じて2割・3割)。ここまではよく知られています。
見落としやすいのが2段階目、区分支給限度基準額です。介護保険には要介護度ごとに「1か月あたり、ここまでは保険が使える」という上限が決められています。目黒区の案内による、1単位10円で計算した場合の目安がこちらです。
| 要介護度 | 1か月の上限(単位) | 1単位10円換算 |
|---|---|---|
| 要支援1 | 5,032単位 | 約50,320円 |
| 要支援2 | 10,531単位 | 約105,310円 |
| 要介護1 | 16,765単位 | 約167,650円 |
| 要介護2 | 19,705単位 | 約197,050円 |
| 要介護3 | 27,048単位 | 約270,480円 |
| 要介護4 | 30,938単位 | 約309,380円 |
| 要介護5 | 36,217単位 | 約362,170円 |
この上限までなら自己負担は1〜3割で済みます。そして、上限を超えた分は全額自己負担になります。要介護1の方が月17万円分のサービスを使ったなら自己負担は1割で約1万7千円ですが、20万円分使うと超過した約3万円はまるごと負担になる、という仕組みです。
なお、金額は「単位」で決まっており、1単位あたりの単価はサービスの種類や地域によって変わります。上の表はあくまで目安なので、実際の金額は親の住む自治体とケアプランで確認してください。
費用で見落としやすい3つのこと
- ショートステイの食費と滞在費は別料金です。介護サービス費とは別に負担が発生するので、連泊させるときは合計額を確認してください
- 施設サービス(特別養護老人ホームなど)は、この区分支給限度額の対象外です。在宅で使うサービスとは費用の考え方が変わります
- 保険で賄えない部分は自費のサービスになります。介護保険の対象は「本人のための必要な支援」なので、家族の分の食事作りや、庭の草むしり、正月の準備といった日常の家事の代行は対象外とされるのが一般的です
お金の出どころについては、親が認知症になると預金は下ろせない?もあわせて確認しておいてください。介護は長期戦なので、支払う仕組みを先に整えておくと後が楽です。
サービスは「親のため」だけのものではない
最後に、いちばん伝えたいことを書きます。
デイサービスやショートステイは、本人のためのサービスであると同時に、介護する家族が休むための仕組みでもあります。専門的にはレスパイト(休息)と呼ばれる考え方で、制度の側もそれを織り込んでいます。
「親を預けるなんて」とためらう方は多いのですが、介護は終わりの見えない長期戦です。倒れるのは、たいてい介護している側が先です。休むことは手抜きではなく、続けるための手段だと考えてください。
そして、休むためにサービスを使うことに罪悪感があるなら、その気持ちこそ兄弟姉妹で共有してください。1人で抱えている限り、罪悪感は消えません。
仕事との両立に行き詰まりを感じているなら、辞める前に介護で仕事を辞める前に。介護休業・介護休暇・給付金の使い方を確認してください。
わが家の場合
母はまだサービスを使っていません。それでも先日、デイサービスの話題を出したことがあります。近所の方が通い始めた、という世間話の流れで。
母の反応は「私はまだいいわ」でした。予想どおりです。ただ、そのあとに「でも、お風呂は手伝ってもらえるんだってね」と続けたのが、少し意外でした。まったく興味がないわけではないらしい。
いま決めてもらう必要はありません。ただ、選択肢の名前を知っていて、悪い印象を持っていない。その状態を作っておくだけで、いざ必要になったときの会話はずいぶん違うはずです。
今日やることは、これだけ
- 親の要介護度が分かるなら、上限の目安を表で確認しておく
- ケアマネジャーに「福祉用具と住宅改修も使えますか」と聞いてみる
- 家族が休むためにサービスを使っていい、と兄弟姉妹で確認しておく
