故人のパソコン・スマホの処分。データ消去と捨て方の正しい順番

故人のパソコン・スマホの処分。データ消去と捨て方の正しい順番

故人のパソコンやスマホの処分は、遺品整理の中でも後回しになりがちです。中に何が入っているか分からない、勝手に消していいのか分からない、そもそもどこに出せばいいのか分からない。この記事では、順番を間違えないための手順と、機器ごとの処分先を整理します。

スマホとパスワードのメモ帳のイラスト
目次

結論:「確認 → 相続の判断 → 消去 → 処分」の順番を守る

処分そのものは難しくありません。難しいのは順番です。一度データを消したり機器を手放したりすると、元に戻せません。

故人のパソコン・スマホを処分する前の4ステップの図解

急いでいると、つい「処分」から考えてしまいます。でも最初の2ステップを飛ばすと、取り返しがつかなくなることがあります。順に見ていきます。

処分の前に確認したい2つのこと

相続の判断が先

もし相続放棄を検討しているなら、機器の処分は待ってください。財産的価値のあるものを処分すると、相続を承認したとみなされるおそれがあります。パソコンやスマホは中古市場で値が付く場合があり、判断が難しいところです。

故人に借金がある可能性が少しでもあるなら、処分の前に弁護士や司法書士へ相談してください。この順番については遺品整理はいつから始める?でも触れています。

中身の手がかりを控えておく

ロックが開くなら、消す前に次のものを確認しておくと後の手続きが楽になります。

  • 写真・動画・連絡先(訃報を知らせる相手の把握にも使います)
  • ネット銀行・証券・暗号資産のアプリやブックマーク
  • 契約中のサブスクやサービス(解約の手がかりになります)
  • メールの受信箱(金融機関やサービスからの通知が残っています)

必要なものは外付けのハードディスクやUSBメモリにコピーしておきましょう。ロックが開かない場合にできること・できないことは親のスマホ、亡くなった後にロック解除できる?にまとめています。解約の進め方は故人のサブスク・ネット契約、解約はどう進める?をどうぞ。

データの消し方。初期化だけでは足りないことがある

パソコンの「初期化」や「リカバリー」は、データそのものを消しているとは限りません。管理情報だけを消して、中身は残ったままという場合があり、市販の復元ソフトで読み出せる可能性があります。

さらにやっかいなのが、機器の中身がHDDかSSDかで話が変わることです。SSDには書き込み先を分散させる仕組みがあり、上書きの命令を出しても古いデータが別の場所に残ることがあります。HDD向けの「ゼロ書き込み」をSSDにやっても、思ったほど消えていない可能性があるわけです。

家庭で現実的に取れる方法は次の3つです。

方法手間向いている場合
専用のデータ消去ソフトを使う自分で操作でき、機器の種類が分かっている
ドライブを取り出して物理的に壊す機器を再利用しない。確実性を重視する
データ消去に対応した業者に任せる台数が多い、自信がない、確実な証明がほしい

判断に迷うなら、データ消去まで対応してくれる回収業者に任せるのがいちばん確実です。次で説明する認定事業者は、この点でも安心材料があります。

どこに出す?パソコンとスマホで違う

処分先は機器によって変わります。

パソコン

「メーカーによる回収」が基本です。2003年10月以降に販売された家庭向けパソコンには「PCリサイクルマーク」が貼られており、このマークが付いていればメーカーが無償で回収・リサイクルします。申し込むとメーカーから「エコゆうパック伝票」が郵送されるので、自分で梱包して郵便局に集荷を依頼するか持ち込みます。

マークがない場合や、回収するメーカーがすでに存在しない場合は、パソコン3R推進協会が有償で回収しています。

「小型家電リサイクル法の認定事業者」という選択肢もあります。環境大臣と経済産業大臣の認定を受けた事業者で、認定にあたっては情報機器のセキュリティ管理を含む体制が審査され、実地検査も受けています。データの扱いを気にする場合はここが判断材料になります。事業者の一覧は環境省のサイトで公開されています。

自治体によっては回収ボックスを設置している場合もあるので、お住まいの市区町村のごみ担当窓口も確認してみてください。

スマホ・携帯電話

携帯電話事業者による「モバイル・リサイクル・ネットワーク」があり、各社ショップなどで本体・電池・充電器を無償で回収しています。参加事業者は、回収後に端末が再利用されたりデータが第三者に漏れたりしないよう、共通の運用ガイドラインに沿って管理しているとされています。

ショップに持ち込む場合も、可能な範囲で自分で初期化してから出すのが安心です。

わが家の場合

父のノートパソコンは、処分するまでに1年近くかかりました。理由は手続きが難しかったからではなく、単純に決断できなかったからです。

中身を見れば何か分かるかもしれない。でも見るのが怖い。そのまま押し入れに戻す、を何度か繰り返しました。最終的にやったのは、フォルダごと外付けハードディスクにコピーして、パソコン本体だけを処分することでした。中身は今も見ていません。でも「いつでも見られる」という状態にしたら、不思議と気持ちの整理がついたのです。

急いで判断しなくていいと思います。ただ、コピーだけは早めに取っておくこと。機器は年々古くなり、いつか電源が入らなくなります。

なお、こうした整理を自分の家族に残さないための備えとして、生前に「消したいもの」と「遺したいもの」を仕分けて託せるサービスもあります。詳しくはデジ・タクセルとは?にまとめました。

NEXT STEP

今日やることは、これだけ

  • 相続放棄の可能性があるかだけ先に確認する(あるなら処分を止めて専門家へ)
  • ロックが開くなら、写真と連絡先を外付けドライブにコピーする
  • 手元のパソコンに「PCリサイクルマーク」があるか裏面を見てみる

出典

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この記事を書いた人

中心メンバーは、数年前に父を見送った40代の会社員。デジタル遺品や実家の整理で「準備しておけばよかった」と痛感した経験から、同じ立場の方に向けて、親の「もしも」に少しずつ備えるための情報を集めて記事にしています。

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