親と最期の話をするきっかけ。「話したくない」は2.1%でした

親と最期の話をするきっかけ。「話したくない」は2.1%でした

もしものとき、親がどんな医療を望むのか。聞いておいたほうがいいとは思っても、切り出せない。この記事では、国の調査で分かっていることと、話した内容がどこで効いてくるのかを整理します。

切り出し方そのものは親の終活、どう切り出す?にまとめました。ここは、何を話すのかという中身の話です。

目次

結論:話したくない人は、ほとんどいません

本人が意思を伝えられないときに医療・ケアの方針がどう決まるかを示した図解

厚生労働省の令和4年度の意識調査に、はっきりした数字が出ています。

人生の最終段階で受けたい、あるいは受けたくない医療やケアについて、家族等や医療・介護従事者と話し合ったことがあると答えた一般国民は29.9%でした。内訳は、詳しく話し合っているが1.5%、一応話し合っているが28.4%。話し合ったことはないが68.6%です。

7割近くが話していません。

では、なぜ話していないのか。同じ調査の「話し合ったことがない理由」を見ると、順番はこうなっていました。

  • 話し合うきっかけがなかったから 62.8%
  • 知識が無いため、何を話し合っていいか分からないから 31.0%
  • 話し合う必要性を感じていないから 21.8%
  • 話し合いたくないから 2.1%

いちばん多いのは、きっかけがなかったから。そして「話し合いたくない」は2.1%しかありません。

親が嫌がるから言い出せない、と思っていたのですが、数字を見るかぎり、嫌がっている人はほとんどいないようです。待っているのは、たぶんきっかけのほうです。

「人生会議」という呼び名がついています

厚生労働省は、この話し合いに愛称をつけて普及を進めています。

同省の案内では、人生会議とは、もしものときのために、あなたが望む医療やケアについて前もって考え、家族等や医療・ケアチームと繰り返し話し合い、共有する取組のこと、と説明されています。アドバンス・ケア・プランニング、略してACPとも呼ばれます。

ポイントは「繰り返し」だと思います。一度決めて終わり、ではありません。

厚生労働省のガイドラインにも、本人の意思は変化しうるものであることを踏まえ、本人との話し合いが繰り返し行われることが重要である、と書かれています。去年と今年で答えが違っていい、ということです。

そう考えると、1回で全部聞き出そうとしなくていいのだと分かります。「今日はここまで」で構わない。

家族は代わりに決めるのではなく、推定する立場です

ここが、この記事でいちばん伝えたいところです。

ガイドラインは、本人の意思が確認できない場合の手順をこう定めています。

家族等が本人の意思を推定できる場合には、その推定意思を尊重し、本人にとっての最善の方針をとることを基本とする。推定できない場合には、本人にとって何が最善であるかについて、本人に代わる者として家族等と十分に話し合い、本人にとっての最善の方針をとることを基本とする。

つまり、家族が求められているのは「自分ならどうするか」ではなく「あの人ならどう言っただろうか」を推し量ることです。

そして、推定できるかどうかは、それまでに話していたかどうかで決まります。何も聞いていなければ、推定しようがありません。そのとき家族は、根拠のないまま決めることになります。あとで「あれでよかったのか」と引きずるのは、たいていこの場合だと思います。

ガイドラインには、話し合いに先立ち、本人は特定の家族等を自らの意思を推定する者として前もって定めておくことも重要である、とも書かれています。誰に推し量ってもらうかまで、本人が決めておける、ということです。

なお、このガイドラインでは、生命を短縮させる意図をもつ積極的安楽死は対象としないと明記されています。延命治療をどうするかという話と、安楽死の話は別のものです。

話したら、書いておく

ガイドラインには、繰り返し出てくる一文があります。

このプロセスにおいて話し合った内容は、その都度、文書にまとめておくものとする。

医療・ケアチームに向けた言葉ですが、家族の側にも当てはまると思います。会話は忘れますし、きょうだいの間で記憶が食い違うこともあります。

書く場所は、エンディングノートが向いています。全部埋める必要はありません。聞けたことだけ、日付をつけて足していく。

「最後まで家がいい」「大げさなことはしないで」。そういう一言でも、残っていれば推定の材料になります。

入院の場面で何を聞かれるかは親が入院したらに、施設を考える段階の話は親の施設、どう選ぶ?にまとめました。実際の医療の判断は、担当の医師や医療・ケアチームと話し合って決めることになります。

わが家の場合

父のとき、私たちは何も聞いていませんでした。

病院で「もしものときは」と聞かれて、母が「本人は苦しむのは嫌だと思います」と答えたのを覚えています。根拠は、たぶんありませんでした。長年一緒にいた勘です。

それが間違っていたとは思いません。ただ、あのとき母が背負ったものの重さは、いま想像がつきます。

母とは、断片的にですが話せています。「最後まで家がいい」と言われた日のことも書き留めてある。きっかけがなかっただけ、という調査結果を読んで、もう少し踏み込んでもいいのかもしれないと思いました。

NEXT STEP

今日やることは、これだけ

  • 1回で聞き出そうとせず、「今日はここまで」で終える前提にする
  • 聞けた一言を、日付をつけてエンディングノートか手帳に書き留める
  • 親に「誰に判断してほしいか」を決めてもらう(人の名前だけでいい)

出典

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この記事を書いた人

中心メンバーは、数年前に父を見送った40代の会社員。デジタル遺品や実家の整理で「準備しておけばよかった」と痛感した経験から、同じ立場の方に向けて、親の「もしも」に少しずつ備えるための情報を集めて記事にしています。

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